二拠点生活

 

ローカルトーク 山梨県北杜市白州編

つじまりなさん 「地元愛から始まる、小さな挑戦」

 

 

山梨と東京の二拠点生活を実現されている、つじまりなさんをゲストとしてお迎えした、はじまり商店街さんによるイベントに参加した。

今まで考えてきた課題とリンクしたポイントがたくさんあった、そして自分自身にとって二拠点生活のリアルをお聞きし、これからの生き方を考えるいいきっかけになった。

イベントを振り返りつつ、特に関心のあった点についてまとめてみたい。

 

山梨県北杜市平成の大合併

北杜市は、平成大合併で、いくつかの町が市に合併された地域。

→統合前の町にアイデンティティを持つ人が多い。特に歴史的文脈が強いエリアはなおさら。

平成の大合併と、地域共同体の変化については、ずっと向き合いたかったテーマだったので、実際に行って話を聞いて見たくなった。市に統合される前の「町」にアイデンティティをもつ人が多い、という話があったが、このような地域は多いのだと思う。特に白州町は、歴史的文脈が強いエリアである、という事も関係しているようだが、

「なぜ、町にアイデンティティをもつのか、そのきっかけになっているものはなんなのか」この点には白州町に関わらず、とても関心がある。そして、この点を深掘りする事が、町の方々が自分たちの町の魅力に気づくきっかけにもなると考えるので、色々な地域をこの観点から調べてみたくなった。

そして、やはり今日改めて、自分自身が向き合ってきたテーマである伝統芸能によるコミュニティとの関係性からここを考える視点は普通なことではないと気づいたので、自分なりにこれからもいろんな地域についてこの切り口で向き合い続けてみたいと思った。

 

コミュニティ内の「新住民」、「旧住民」の対立

北杜市は、もともと別荘、リタイア後の移住先として人気があったようである。すなわち、外から人が入ってくる、という事例が珍しい事ではなかった、という事だ。しかし、その結果、新しく入ってくる「新住民」元から住んでいる「旧住民」という対立ができているのも事実。つまり、移住者は、移住者のコミュニティで完結してしまいがちだ、という事だ。このような事例は他の地域でも少なからず見られている事を、いくつかの地域の事例を拝見し、感じていたが、北杜市もそのうちの一つだそうだ。つじさんは、二拠点生活の人材が、「新住民」「旧住民」をつなぐ役割を果たすことができるのではないか?というお考えを持っていらした。まさに私が今まで考えてきた事だった。移住者が増えていくのは地域にとって、いい事ではあるが、本当の意味でちゃんとその地域に根を張って、つまりコミュニティに深く関わっていける人が増えていかない限り、「新住民」、「旧住民」の対立はどの地域でも避けられないだろう。壁を壊せる人材が必要だとおっしゃっていたがまさにその通りだと思った。もちろんそのためには何かしらのアクションが必要だし、周りを巻き込める熱量がなければ、地域を動かすことはできないかもしれない。しかし、つじさんのような熱量のある人材が一人いるだけでも、その地域にとっては、相当なインパクトになっていくのは間違いない。

そして、今回のもう一つの大きなキーワードが、地域に、そして地域の人たちとどこまで関わるのか、を関わる個人に選択させる事ができる余地、すなわち余白を残すこと。地域の中で、柔軟に関わり方を選択、変化させられる取り組み、そしてどう関わるかを選択できる余地を残すことは重要なのだろうと思っていたが、住民参加型のコミュニティイベントの中にさえも、その余白を残す事に挑戦されていた。そこまで緻密に考えられてイベントを創るのはすごいと思った。でも、よく考えてみれば、ある意味では普通のことなのかもしれない。参加したい人がすればいいし、参加したくなければしなくてもいい。それでも、いいムーブメントを少しずつ巻き起こし、それが少しずつ広がっていき、自律的に参加したいと思う個人が増えていけば、それはそこに住む人々の地域に対する関心が深める事に成功したと言えると思うし、それが理想なのかもしれないと思った。

私自身はこの枠(「新住民」、「旧住民」のつなぎ役)として観光客がどんな役割を果たしているのか、観光客にどんな可能性が残されているのか、すなわち地域にとって観光が経済効果以外にコミュニティづくりにどう貢献できるか、という点、そして地域と観光客は関係性がどのように深めていくのか、観光客から二拠点生活者、そして移住者と関係性が発展するきっかけは何なのかーという部分に踏み込んで考えてみたいと思っていた。今日新たな視点から考えられるきっかけを得られたのでこのテーマは引き続き自分自身の中でも、大きなテーマとして向き合っていきたいところだと改めて思った。

 

二拠点生活という選択肢

今まで実際に二拠点生活を視野に入れて考えたことはなかったけれど、今日の話を聞いて、二拠点生活を経験してみるのもありだなあと。それぞれの地域でインプットできて、そしてまとめてアウトプットできる、息抜きできるというメリットがある反面、完全なる「住民」ではないこと、すなわち地域にそこまでの責任を感じない存在である事が引け目と感じる事もあるという。しかしそれらのメリットデメリット含めて、とても面白そうな生き方だと思った。何より、自分の楽しいと思う事をして、人を巻き込んで、生き生きとパワフルに生きるつじさんがとても素敵だった。つじさんの地元の愛に触れた時間だった、刺激と多くのキーワードを得られたとてもいい時間だった。そして何より、もっとキーパーソンに自分から会いに行こうと思えた。本日の言葉を借りるならば、自分自身にいい化学反応が起きればいいなという感覚で、新たな人との出会いを楽しんでみたいなと。